【第1回】「初音ミク」ブームに火を付けたのは、誰?(その2)

その1では、身に余るブックマーク数をいただいてしまいました。
ニコ動運営者や開発者の方にもヲチられているようですが、このダイアリーはボクが思ったことを淡々と書き続けるところですので、過度な期待はしないでください。
あと、何か疑問点、反論がある場合は、コメントやご自分のブログなどでご自由に書きやがってください。
みなさんの意見、分析、議論がないと、いろいろ成り立ちませんので。

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さて本題。前回は、話の導入部分までお話ししました。
今回は、初音ミクの登場前のニコニコの話題のうち、ユーザーの動画の探し方だとかのシステムの話について、書いていきたいと思います。
大風呂敷を広げて、みなさんの期待はずれの内容にならないようにはしたいと思います。。。


【第1章】初音ミクを受け入れられた、ニコ動文化とは。

[第1節:システム面から見たニコニコ動画(RC)]
今でこそ、多種多様なサービスを展開しているニコニコ動画ですが、当時はサービス黎明期で、ほんの一握りのネットオタクが知っているサイトでした。当時はニコニコ動画(RC)でしたね。

ニコニコ動画は会員制の動画サイトであることは周知の通りです。
今だったら、アカウントを取得したその日から、いつでもアップされている動画を見ることができます。(一般会員には未だにエコノミーなどの制限がありますが)

しかし、今では考えられませんが、ニコニコ動画にはアカウントを持っていても動画を見られない時代がありました。


新しくニコに来た人にとっては、驚愕の事実かも知れませんが、そんな時代もあったんです。
ボクは割と早めの50万番台のアカウントを持っていたのですが、しばらくは深夜・早朝しか見られず、24時間見られるようになったのは、2007年のGWくらいですね。
初音ミクが登場する頃は、どうやら200万IDくらいまで常時開放されていたようです。
プレミアム会員は、10万人にすら届いていなかったようですね。
ソース→http://blog.nicovideo.jp/2007/08/200id.php
今より、動画を見ている人というか、動画を見られる人自体が圧倒的に少なかったのが当時のニコニコ動画です。


当時のニコニコ動画は、小さな村でしかありませんでした。
1日の投稿動画数は、約5000。また、動画への導線も少なかった。
当時はtwitterも黎明期で、している人なんてほとんどいなかったし、ニコレポみたいに特定の投稿者の状況を追えるサービスもなかった。
そもそも当時ニコ動にあったサービスって、動画以外ほとんどありませんでしたね。
ニコニコ市場は始まったばかりだったし、モバイルもdocomo向けに公開が始まったあたり。
ニコニコブックマークなんてサービスがあったりしましたが、ほとんど使われていませんでした。


みんなどんな導線をたどって動画を見ていたんだろうっていうと、下の3つくらいに集約されてくる気がします。

・好きなジャンルの動画を検索して見る
・新着動画をとにかく漁る
・ランキングから見る

このうち、一番上の「好きなジャンルの動画を検索して見る」は、かなりライトなユーザーに限られると思います。
なぜなら、サービスインから半年も経っておらず、その上にそもそも投稿総数自体が少ないので、長時間の視聴に耐えうる動画数自体が確保されていなかった。
そういう方法で1日潰せるだけ動画があったのは、歌ってみた、アイマス、アニメ丸上げくらいなもんじゃないでしょうか。腐女子向けとかもこっちかもしれませんね。

新着ハンターってのも少なかったと思いますよ?当時こういう見方をしていたは重度のニコ厨だと思います。

ということで、『ニコ厨』が動画を探す大動脈を担ったのが、ランキングでした。


当時のランキングは、朝の午前5時から集計が始まり、1時間ごとにその数が集計され、1日中ランキングがころころ変わるシステムでした。
また、マイリスト単独の数値でランキングを計算していたことも特徴です。

このランキングには特徴があって、まず、変化のスピードが早かったこと。
マイリストは基本的に、1人1回入れたらそれで終わりです。
ですから、1日目に見てマイリストに入れた人が、2日目に見たとしても、その2日目のカウントは入りません。
現在のランキングでは、ランキングに入ってから2日目の再生が強いので、ランキング上位の動画は数日ランキングに残りますが、
当時のランキングは、絶対的な視聴者数が少なかったこともあり、1日経てばランキングがガラっと変わる仕様になっていました。

もう1つの特徴として、伸びてくる動画がそのランキング上でわかったことです。
当時のランキングでは、朝方はそれなりに前日のランク上位の動画が残りますが、
新着で発掘された良動画がマイリスト数を一気に伸ばしてきて、一気にその日のランキング上位まで駆け上がる、というパターンが多かったように記憶しています。
そのような動画には当然視聴者が集中するので、コメントの更新間隔も速く、「みんなで同じ動画をリアルタイムで見ている」感覚がありました。


このような特徴から、ニコニコに来たら、まずはランキングをチェックし、上位の動画を見た後、スクロールして行って下位の中から自分が気になる動画をチェックするというパターンでニコニコする人が多くいました。
当然そのマイリストランキングは玉石混淆のものだったので、なにか特定のジャンルを見るという人は今より割合的に少なかったと思います。
特定のジャンルに拘っていたら、動画の供給が少ないので、時間を余してしまうんですよね。
これは今の文化とは違うところです。
まぁ、だからこそ、"ニコニコで動画を楽しむ"「ニコ厨」、"ニコ厨みんなが知っているキャラ"の「ニコニコオールスター」が成立したんでしょうね。
その集大成たるものが、"ニコ厨みんなが知っている音楽を集めた"「組曲『ニコニコ動画』」だったんだと思います。

当時は、ランキング上位の作品は、ニコ厨みんなが知っている作品だったんです。
ひとたびブームが発生すれば、マイリストランキングはその関連動画で埋め尽くされるし、そのランキングを見ているのだから、そのブームはニコ厨みんなが知っている。
マイリストランキングで流行している作品=ニコ厨みんなが見ている作品=ニコニコで流行している作品だった時代でした。
現在ではジャンルと言うか、ニコ動の世界が広がりすぎて、局所的な流行はあれども、ニコ動全体の流行と言えるものは、出てこなくなっていますね。



今日の話をまとめると、以下のようになります。

初音ミクが登場したときは、人数が今よりずっと小規模で、投稿動画も少なかった時期だった。
・当時は今よりも動画にたどり着く導線が少なく、マイリストランキングページが非常に重要な動画案内所となっていた。
・当時の主流ユーザーは、ランキングに入っている中から、幅広いジャンルの動画を見ていた。
・マイリストランキングで上位に来る動画は、「ニコ厨」みんなが知っている動画で、マイリストランキング内での流行=ニコニコでの流行だった。


以上、今日は当時のニコニコのシステムやユーザーの嗜好・雰囲気について書きました。
十人十色の使い方ができるニコ動ですから、もしかしたら今回の話に多少違和感を感じる人もいるかもしれませんが。。。

次回は、そんなニコ動で実際どんな作品が流行していて、その後の初音ミクブームに影響を与えたのかというあたりを書いていきたいと思います。